Brother(ハオ葉)

家の申し付けだった
そのための命だった
最初はどうとも思ってはいなかった





Brother







仮面の下の素顔も見せやしない父に突然言われた言葉。

「お前とハオは兄弟だ」

少々驚いては見たが父はもっと反応が大きいと思っていたらしく首を傾げる。
似た顔は兄弟だからかなどと今まで疑問に思っていたことが葉の仲で全て結論付いていた。



だから自分のことを半身と呼んでいたのか。


だから自分に必要以上に関わってくるのか。


だから自分を・・・

葉の思考が停止する。
いや、結論付けたくないのだ。そうであって欲しくないと願うから。



自分が兄弟だから愛してくれたのか。と。



自分を愛してくれていたのは自分自身を愛しているからではなく、兄弟だから愛してくれていた。そんな理由は嫌だった。
そういえば彼は自分の何処が好きなのかと問いかけてもまともな返事をくれなかった。
そんなことばかりが脳裏を過ぎる。
話が嫌な方向へ進んでいく。
本人に直接会って聞いても彼がまともに答えてくれるとは思わず。
自分の心が闇にのまれていくのがわかる。
父が話す言葉なんて耳に入る余裕もない。話が一区切り付いたときいてもたってもいられず礼を言い葉は走り出した。
足は確実にハオの元へ向かっていた。

そうだ、今思えばおいらはハオを倒さなきゃなんだ。
麻倉の使命。走りながら思い出す。

でもハオ。

おいらはお前を愛してしまった。

だから期待を裏切らんでくれ

お前がおいら自身を愛してくれていると言ってくれないと




おいらは壊れてしまうから

お前を殺してしまうから。

愛が憎しみに変わってしまうから。



おいらはお前を失いたくないんよ

少年の頬が雫で濡れた。




End




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